この研究では、指先の爪の付け根にある細い血管(毛細血管)の写真を撮り、AIに学習させています。将来的には、その画像から1型糖尿病と2型糖尿病を見分けたり、早い段階で異変に気づいたりすることを目指しています。
①この研究は、どのような研究ですか?
この研究は、爪郭毛細血管の画像をAI(深層学習)で解析し、糖尿病の早期発見や糖尿病の型を分類することを目指しています。
特に1型糖尿病には「急性発症」「緩徐進行」「劇症」の3タイプがあり、そのうち緩徐進行型は2型糖尿病と症状が似ているため、診断が難しい場合があります。研究チームは、毛細血管の形状や特徴に着目し、痛みを伴う検査をすることなく、画像だけで糖尿病の型を判別できないか検証しています。
また1型糖尿病は原因がわかっておらず、症状(意識障害、全身倦怠感、嘔吐など)がでてから救急搬送されることが多いため、重症化するリスクを防ぐことも可能となります。
画面は爪郭毛細血管の画像。1型糖尿病患者の毛細血管は、交差・湾曲している。
(左:健常者の毛細血管、右:1型糖尿病患者の毛細血管)


②AIの学習で苦労したことと現在の精度は?
最も苦労したのは「データクレンジング」です。
毛細血管の撮影は顕微鏡で行い、1回あたり3〜4分の動画を撮影します。1人につき6本の指を撮影するため、膨大な枚数の画像データが生成されます。(1人につき約65,000~87,000枚)
しかし、実際の画像には埃や光の反射、白飛びや暗すぎる画像など、AIの学習に適さないものも多く含まれています。そのため研究チームは、不要な画像を丁寧に除外し、質の高いデータだけを学習に使用しました。
この地道な前処理作業が、AIの性能向上につながる重要なポイントとなりました。
こうした作業を行った結果、現在は画像認識AI「ResNet50」を使用して、約80%の正解率で1型糖尿病の方と健康な方を見分けられるようになりました。

卓上AIスーパーコンピューター。1秒間で1000兆回の処理が可能
③ 今回の表彰はどのような点が評価されましたか?
この研究は、「人工知能で社会課題を解決する」をテーマとした学会セッションで発表されました。
AIを活用して、1型糖尿病の早期発見や診断支援につながる可能性を示したことが評価されたと考えられています。
全国の有名大学が参加する中での受賞となり、研究チームにとって大きな励みとなりました。

④今後の目標は?
次の目標は、1型糖尿病と2型糖尿病を見分けられるAIを開発することです。
そのためには、2型糖尿病の方のデータをさらに集める必要があります。また、現在約80%の精度を90%以上まで高めることも目指しています。
将来的には、病気が発症する前の血管の変化を捉え、1型糖尿病の早期発見や発症予測につながる仕組みを作ることが研究チームの大きな目標です。


★協力していただける方募集中!
AIは学習サンプルが多ければ多いほど精度が上がります。プロトタイプでも30症例ぐらいの患者のデータを学習させないと「研究」として認めらないのが現状です。
研究にご興味・ご協力いただける方は下表に記載のメールまでご連絡ください。
あなたの協力が、未来の医療を支える一歩になります!
| 協力していただきたい内容 | ・爪郭毛細血管の撮影(30分ほどで終わります) ・年齢、病歴、合併症の有無など(個人情報は厳重に管理します) ※休日の撮影も可能です |
| こんな方にお願いしています | ・糖尿病と診断された方 ・研究に興味があり、医療の未来に貢献したい方 |
| 詳細はコチラから | https://tdm-circle-typeone.com/wp-content/uploads/2026/07/研究協力のお願い.pdf |
| 連絡先 | 富山県立大学情報工学部 データサイエンス学科 長谷川 晃 |
| メールアドレス | a-hasegawa@pu-toyama.ac.jp |
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